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2010.01.15 (Fri)

水戦争の世紀─映画『ブルー・ゴールド─狙われた水の真実』 

雑誌『オルタ』2009年11・12月号に掲載された記事を転載します。




ブルーゴールド

水戦争の世紀─映画『ブルー・ゴールド─狙われた水の真実』 



20世紀が石油の利権をめぐる戦争の時代だったとすれば、21世紀は「水戦争」の時代になると言われる。世間の関心は温暖化問題に集中しがちだが、今回紹介する映画『ブルー・ゴールド』は、私たちが住む地球が水戦争の時代に突入している現実を克明に描き出した、衝撃的なドキュメンタリーだ。ぜひ劇場で観てほしい。ただし、本作品に含まれる膨大な情報量については、観る側が消化できるのか一抹の不安が残る。そこで、映画の流れに沿って大まかな整理を試みた。鑑賞の一助としていただければ幸いである。



全90分の本作は4部で構成される。第1部「淡水資源危機」では、その名の通り、環境問題としての水が語られる。地球上の水の97%は海水、飲み水になり得る淡水は3%だが、飲料用に取水できる淡水の比率は0.001%と言われる。ところが淡水の源である雨水の保全に必要な森林の破壊が進んでおり、水資源の枯渇が進行している。一方、水を必要とする人口は68億を超えたと言われ、さらに今後も爆発的な増加が見込まれる。こうして水不足は加速度的に深化の一途を辿っている。



つづく「政治の策略」では、危機をチャンスにとばかりに、水不足で苦しむ人々を狙い撃ちした大手水企業が、世界各地でボトル水を売りつけていく「商品化」の実態に迫っていく。一例として、アフリカで水の販売を独占するコカ・コーラ社は、「ダサニ」というブランドのボトル水を販売している。水道水が飲めない地域で販売されるダサニ500mlは45シリングだが、同量のコーラは26シリングで、水の価格は、コーラの値段を遥かに上回る。



希少資源としての水は、確実に利益を生み出す恰好の投資対象になっており、すでに水関連の銘柄もあるという。だからなのか、国連のミレニアム開発目標(MDGs)には、水の汚染や地下水利用の抑制が含まれておらず、国連は水の商品化にお墨付きを与えており、生存権を左右する水問題に介入しようとしないのである。



第3部「水戦争」では、大手水企業の横暴に立ち上がる人々の闘いに焦点を当てる。たとえばボリビアでは、債務削減と引換えに世界銀行から水道事業の民営化を迫られ、水道料金が莫大に高騰したうえ、雨水を集めることさえ禁止された。これに対し立ち上がった民衆は粘り強い抗議行動を展開し、ボリビアで長くつづく抗争は象徴的な闘いとして語り継がれている。



このように「水戦争」とは単なる資源の争奪に留まらず、生命線(ライフライン)をめぐる壮大な覇権のせめぎ合いである。米軍は五大湖周辺に基地を構え軍事訓練を展開し、水資源の豊富な隣国カナダを牽制している。ブッシュ前大統領一家はパラグアイに400平方キロの土地を購入したというが、米軍はパラグアイでも秘密裏に作戦を展開し、一時は米軍基地が建設されたとの報道も出回った。付近には巨大ダム、隣国ブラジルにはグアラニ帯水層があり、一帯は、「水の中東」になると予測する向きもある。



水をめぐる利権争奪と囲い込みが壮大な規模で進むなか、私たちは安全な水道水に恵まれながら、日常的にボトル水を消費していたりする。第4部「進むべき道」では、水(ブルー)が大企業に所有され高騰し、金のなる木(ゴールド)に変貌する現状について、「これが世界の現実」としつつ、「だが必然ではない」と訴える。事実、水が商品化し、高騰したウルグアイでは、国民が立ち上がり、憲法改正を経て水の民営化を禁止した。ブルー・ゴールドの流れを止めるのは、それに気づいた私たちに他ならない。



※映画『ブルー・ゴールド』に関する情報を集めて、<a href="http://twitter.com/">ツイッター</a>でつぶやい ています。「#bluegold」で検索してみください。



・・・・・・・・・・・・・・・



なお、先日、ボッゾ監督にインタビューをさせていただきました。別途、インタビュー記事が掲載になりましたら、お知らせします!



映画『ブルー・ゴールド-狙われた水の真実』公式サイト



1月16日より、渋谷アップリンク、ポレポレ東中野、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか、全国順次公開。



配給:アップリンク


1/16(土)より公開!監督による初日舞台挨拶を開催します!!



1/24(日) 上映+トークショー開催!ゲスト:佐久間智子(アジア太平洋資料センター理事)×沖大幹(東京大学教授)



2/14(日) 上映+トークショー開催!ゲスト:三本裕子(A SEED JAPAN事務局長)



※公式サイトより



 



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