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2008.05.23 (Fri)

林業が生物多様性のためにできること

以前「木材自給率2割の森林大国日本」で、日本の国土の約7割は森林で、国土に占める森林の割合は、先進国において世界第三位、とお伝えしましたが、そのうちの41%は人工林(スギ44%,ヒノキ24%,カラマツ10%,その他22%)なんです。

ヒノキの人工林を管理されている三重県の速水林業は、日本で最初のFSC森林認証をとられています。また、早くから林業に機械化を導入してきたことでも知られています。

FSCは、「Forest Stewardship Council」(森林管理協議会)のことで、生物の多様性、水資源・土壌等への環境影響など、適切な森林管理が行われているかどうか確認しています。速水林業の森林は、こうした点が認められているのです。

そんな速水林業に、林業が生物多様性のためにできることをお聞きしました。

一般的に、広葉樹の森のほうが生物多様性は豊かで、針葉樹であるスギ、ヒノキの森は乏しいと言われているので、実際はどうなのか、自分たちの管理している森を調査してみたところ、針葉樹のヒノキの森では、250種類の植物が確認でき、広葉樹の森では180種類が確認されました。

このことから、「森林管理の仕方によっては、針葉樹の森でも、多様性を確保するできるのでは」と考えていらっしゃるそうです。

では、どんな森林管理をされているかというと、不必要な下草を刈りをしないこと、だそうです。

ヒノキの人工林では、メインはヒノキですから、ヒノキの育成を優先させます。そのため、ヒノキの周囲の他の植物に栄養を取られないように、下草刈りをするのですが、これまでは、全ての下草を刈っていました。
栄養を取られないためだけでなく、森に入って作業をする人間にとっては、笹やシダの背丈が高くなると、作業がしづらくなります。作業を効率的に進めるためにも、下草刈りは行われてきたのです。

ただし、下草を刈るにはコストがかかります。
かといって、下草を刈らなければ、作業がはかどらない。
ではどうしたらいいのか―。

悩んだ結果、作業者の安全性が確保できるように、作業者が歩く道の部分など、どうしても必要な部分だけは刈ることに。これまでの全部刈っていた方法からの転換でした。

雨が多く、急傾斜の地域では、下草がないと、ヒノキの葉が地面に落ちても流れてしまい、豊かな土壌が育ちません。下草を残せば、雨の流出は少なくなります。

そして、間伐をして、土壌に光がさしこむようにします。間引く本数を多くしたり、タイミングを早くすることで、光の入る量を多くしたり、下草が生えやすくするのだそうです。植物が豊かになれば、それらを好む虫も増えていきます。

作業の効率と安全性、土壌維持に配慮したやり方は、結果とし、森の生物多様性にプラスとなりました。

結果として、生態系豊かな森林維持ができる森林管理の方法を行うことになったのでが、出発点は、下草刈りのコストを抑えつつ、生産性を高めるための議論だったのです。
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